Vol.4 自律神経系のはたらきについて
前回、ストレスフルな状態のとき、身体は交感神経が優位な状態になることをお伝えしました。自律神経系のバランスが乱れる原因は様々な要素が複雑に絡み合っていることが多く、1つに絞ることは難しいのですが、生活習慣の乱れやストレス、風邪をひいた等の体調の変化がきっかけになることが多く、誰にでも起こり得ることです。
自律神経系とは、私たちの生命を維持するための自動調節機能をつかさどる神経系です。例えば、暑いときには汗をかいて体温の上昇を抑える、食後に胃腸の働きを活発にする、その他様々なホルモンの分泌をコントロールするなど、重要な役割を担っています。
私たちの心臓は何も命令しなくても適切なペースで血液を体中に送り出してくれていますよね。胃や腸などの消化器系の臓器も、意識しなくても働いてくれています。これは、自律神経系が私たちの意思とは無関係に、身体を最適な状態に保とうとする機能を持つためなのです。
自律神経系のはたらきとは
自律神経には身体が活動しているときに活性化する「交感神経」と、リラックスしている時に働く「副交感神経」があり、これらがアクセルとブレーキのようにお互いに拮抗してバランスをとりながら、健康を維持しています。交感神経が優位なとき、副交感神経が優位なときで、次のように各部位や身体の機能にも変化が見られます。(注: ここでは代表的なものだけを取り上げています。)
部位 | 交感神経が働く場合 | 副交感神経が働く場合 |
---|---|---|
肺 | 気管支が拡張 | 気管支が収縮 |
心臓 | 心拍数が増加 | 心拍数が減少 |
血圧 | 上昇 | 下降 |
副腎皮質 | アドレナリン・ノルアドレナリンの分泌 | 特に無し |
胃腸 | あまり働かない | 活発に働く |
膀胱 | 排尿を抑制する(尿を貯める) | 排尿を促進する(尿を出す) |
しかし、この自律神経系のバランスは、やっかいなことに、私たちの普段の生活の中で簡単に乱れてしまいます。
自律神経系のバランスが乱れるとどうなるか
自律神経のバランスが乱れると、安静にしているのに心臓の鼓動が激しくなる、胃腸の働きが悪くなる、突然汗が出る、身体がほてるといった、多くの不快な症状が引き起こされやすくなります。この時どんな症状が出るかは個人差が大きく、お腹が痛くなりやすい、めまいがしやすい、頭痛が生じやすい等、それを「体質」として理解されている方も多いのではないでしょうか。
こころの状態の変化よりも、むしろこのような体調の変化の方にいち早く気づいてご相談くださる患者様もいらっしゃいます。体調不良がきっかけであったとしても、メンタルの治療が必要だった、ということがわかることもあります。当院では身体の疾患の見落としがないように細心の注意を払いながら、その方に合った治療をご提供できるよう努めております。(O)
2022年4月13日 うつ、不安