世田谷区 下北沢駅徒歩1分の心療内科・精神科 メンタルクリニック。土日も診療。うつ病、不安障害、パニック障害、発達障害など心の専門クリニックです。

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Vol.13 不安症への理解を深める

ある限定のものや状況、出来事に対して、過剰に不安や恐怖心を感じやすくなり、それにより心身に不調をきたしてしまう疾患の1つとして「不安症(不安障害)」があります。

不安症で困っている方は「自分の性格のせいだ」ととらえて我慢していることが非常に多いため、悪化するまで受診につながらないことがあります。また薬を飲むことへの恐怖感が強い方も多く、不安の症状のせいでなかなか受診後もスムーズに治療が進まないこともあります。そこで、この場でどんな疾患なのかをご紹介し、つらい状態を改善させるためのきっかけづくりが出来ればと考えています。

不安とは?

そもそも『不安』は、本来誰もが感じる、存在していて当たり前の感情なのですが、これがある一定のレベルよりも過剰となると苦痛となり、仕事や家事、育児、学業など、生活に支障を来してしまうことがあります。そして日常生活への支障が大きくなると病気としての対応が必要となって来ます。

それではどうして『不安』という感情が存在するのかを考えてみましょう! 実は、厄介者のように思われがちな感情にも、私たちが生活を送るうえで大切な役割というものがあります。本来、『不安』は悪いものではなく、皆さんを危険から守るための大切なものなのです。以下のような状況を想像してみてください。

例)

・車が速いスピードで走って近づいて来たとき、「怖い」「危ない」という意識を持って、少し路の端の方に身を寄せ、事故から身を守る

・夜、電車から降りたら駅からの帰路が少し薄暗かった場合、「物騒だな」と思い、できるだけ明るく人通りの多い道を歩くようにする

このように、私たちはある程度の不安を感じるおかげで、危険な目にあわないように行動を選択することができます。これは『不安』が適切に機能し、役に立っている状態です。

では、どんなとき、不安が過剰になっていると言えるのでしょうか。それはシンプルに言うと、「心配する必要がないときにも心配し続けてしまう」、いわゆる『取り越し苦労』が過剰になること。そしてその不安のせいで本来出来るはずのことができなくなったり、やらなくても良いこと(確認するための行動や、嫌なものを避ける行動等)をして、不安に振り回されてしまっている状態を指します。

例)

・パートナーや子どもから帰宅時間や居場所の連絡が来ないと心配になり、数分おきに何度も電話やメールをしてしまう。(全般性不安症の症状の一例)

・常に何かしらの心配を抱えて過ごしている。心配がなくなると逆に不安になる。1つ心配事が減ると、また別のことを心配し始めてしまう。(全般性不安症の症状の一例)

・自分が人からどのように見られているのかが気になりすぎて、心身がいつも緊張している。学校や職場で発表ができない。外出することが怖い。(社交不安症の症状の一例)

・電車に乗るとドキドキして汗が止まらない。喉が詰まるような息苦しさも出てくる。何か起きた時に逃げられなくなるような気がして怖いので、電車に乗ることを避けてしまう(パニック症の症状の一例)

・自分は何か怖い病気になったのではないかと思い、ドクターショッピングをして様々な病院で検査や相談をする(病気不安症の症状の一例)

適切な治療でコントロールが可能

「不安症(不安障害)」は『心配性な性格』と思い込まれがちで、周囲の人に誤解されやすく、しかも日常生活の質を落としてしまうため苦痛が大きい疾患です。また、「我慢が足りない」と捉えてしまっている方が多く、ストレスフルため睡眠障害や抑うつ状態を併発しやすく、うつ病として実態とは異なる診断に至っていることもあります。

しかし本来は、適切な治療によって症状をコントロールして行くことが可能な疾患です。

不安に振り回されていた状態から脱出し、『自分でコントロールできる』と思えるようになると、苦痛はだいぶ軽減されます。お薬以外にも「認知行動療法」という科学的に検証された心理療法が功を奏することもあり、医師の診察で必要と判断された場合は当院でも提供可能です。

上記のような症状でお困りの方や、ご自身の不安や心配ごとが病気なのか性格によるものなのかわからないという方は、あまり一人で抱え込まず、一度ご相談にいらしてください。(O)

2022年6月24日  うつ、不安