Vol.2 こころの病について理解を深めよう

こころの病気は、誰でもかかる可能性があります。また、その多くは治療をすることで改善を図ることができるものです。体調や気分が不安定になられているときは「どうして自分だけが？」と思い詰めてしまいがちですが、少し視点を変えて、一般的な知識を持って対応に当たることも大切であると考えます。

じつはメンタル関連で病院に通院・入院をしている方々の人数は、日本国内で約420万人(参考:H29厚労省調査)とされており、これはつまり30人に1人の割合と言えます。生涯を通じて5人に１人がこころの病気にかかるともいわれています。そのように聞くと、決して珍しいものではないことがわかります。

こころの不調は目に見えづらい

ではなぜこころの病は、難しいと思われがちなのでしょうか？それにはまず、「こころ」という臓器が存在せず、どこがどのように不調なのかが目に見えづらいということが原因の1つとして挙げられるでしょう。

例えば、骨折をしたらレントゲンでどこの骨が折れてしまったか調べて視覚的に確認をすることができます。そのような状態の方が身近にいたら、「無理をしないでゆっくり休んで」と伝えるでしょうし、急に走らせたり、重い荷物を持たせたりはしませんよね。

ところが、メンタルの場合はどうでしょうか。どこに何が起きたのかが目に見えないため、どのくらい辛いのか、困っているのかが伝わりにくい側面があります。「頑張りが足りない」「こうなったのは本人の責任」等といったいわゆる精神論的な意見に傷つくこともあるでしょうし、同様のことを自分で自分に言い聞かせて辛抱し、ギリギリの状態になるまで抱え込んでしまう方も多いのが実情です。

しんどいなと思ったら、こころのケアを

こころの病にも様々なものがありますが、どんな病気であったとしても、あるいは病と呼ぶ一歩手前の段階であったとしても、悪化する前に対処することが大切です。最近では、副作用や依存性が少なく、効果の高い治療薬も出ていますし、生活やお仕事の負担を調整しながらカウンセリングで対応していくことが可能な場合もあります。

「しんどいな」と思った時は、身体の病気と同じようにケアを受ける、という考えを持つことで一歩前に踏み出せるはずです。つらい気持ちに飲み込まれそうなときは、信頼できる人に相談をしながら「焦らず、じっくりと治す」という気持ちでご自身の状態と治療に臨むことが一番の近道です。私たちにもそのお手伝いができれば幸いです。（O）

2022年4月8日　 うつ、不安