世田谷区 下北沢駅徒歩1分の心療内科・精神科。うつ病、統合失調症、不安障害、認知症など心の専門クリニックです。

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非定型抗精神病薬

当院は街中のクリニックで、統合失調症などの精神病圏の方は少なく、その分抗精神病薬を用いる頻度は低いと思います。ただ最近製薬会社のMRさん(薬品の説明紹介をしてくださる方々)がそれらの話題をよくされるので少し気になったのと、非定型抗精神病薬は気分障害の治療にも用いられるので、少し書いてみようと思いました。
非定型坑精神病薬の気分障害へのメカニズムにはドパミン、セロトニン、グルタミン酸、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の様々な作用がかかわっています。

従来型抗精神病薬は1950年代に当初抗ヒスタミン作用を持つと推定されていたクロルプロマジンが抗精神病作用を持つと判明したことから想定されたものです。

そもそも精神病とは症候群、疾患横断的な概念で、統合失調症、妄想性障害など、中核症状にそれを含むものから、躁病、うつ病、認知症など、それを合併症状として持ちうる疾患まで様々です。妄想、幻覚など、いわゆる陽性症状といわれるものがその主体です。

従来型抗精神病薬の治療効果は1970年代までに、中脳辺縁ドパミン経路、即ち中脳の腹側被蓋野から腹側線条体の側坐核に至るドパミン経路のD2受容体を遮断することにあると考えられるようになりました。この経路は人間の情動行動を誘発、促進する重要な鍵となる構造です(ドパミン受容体にはD1~D5までサブタイプがあります)。

ここで唐突ですがセロトニン受容体のサブタイプで向精神薬(いわゆる精神科で用いる治療薬)の標的となりうるものを上げると
5HT1a ,5HT1b/d, 5HT2c, 5HT2a, 5HT3, 5HT7等数多くあります。
その中で今回のドパミン神経経路と相互作用する主な受容体は5HT1a, 5HT2a, 5HT2cになります。
・腹側被蓋野では5HT2c受容体への刺激で、中脳辺縁ドパミン経路は抑制されます。つまり側坐核へのドパミン分泌量は減少します。
・側坐核では5HT2a受容体への刺激で、同部位におけるドパミン分泌量は増加します。
・もう一つこれは側坐核との関係でも重要になる前頭前野という部位において、5HT1a受容体への刺激で同部位におけるドパミン分泌量は増加します。

補足しておくと前頭前野へはやはり中脳腹側被蓋野からのドパミン経路があり、中脳皮質ドパミン経路と呼ばれています。そして前頭前野から腹側線条体の側坐核へは神経線維の投射があります。皮質側坐核経路と呼ばれるこの経路の神経伝達物質はグルタミン酸です。詳述しませんが皮質側坐核グルタミン酸経路に対してドパミンは前頭前野においてD1受容体を介して抑制的に働きます。

話を中脳辺縁ドパミン経路に戻すと、腹側被蓋野と側坐核で同じセロトニンがこの経路に対して逆の作用をしていることに気づきます。またセロトニン神経が標的細胞に作用する様式は、比較的ゆっくり起こり、効果が遷延するいわゆる“volume transmission”特性があります。それは神経終末と標的細胞の距離が比較的広く、通常のシナプス形成を示さないことや、5HT3を除きセロトニン受容体がG蛋白質結合型という代謝型であることも関わっています。
つまりセロトニンとドパミンの相互作用は一つの神経経路を取ってみても局所での相反するメカニズムにより経時的な修飾をへて進む複雑な変化であることが分かります。また詳述しませんがグルタミン酸とドパミンは側坐核(詳しくはshell領域)において前者は興奮性入力、後者は抑制性入力とやはり相反する作用を持ちます。
というところでまだ本題に行きついていませんが、続きは次回以降といたします。

2019年10月6日