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モノアミン受容体仮説

以前ケタミンの話題を少し書きました。治療抵抗性の単極、双極うつ病の患者において、麻酔域下の用量での静注で、
時間単位のオーダーでうつ症状が有意に改善することが報告されています。
https://jamanetwork.com/
journals/jamapsychiatry/
fullarticle/210856

これは従来のモノアミン受容体仮説では説明のつかない現象です。

受容体とは簡単に言えば神経細胞同士の化学的メッセージの受け手となるものです。ある情報を神経細胞AからBへ伝える為に、Aの神経軸索終末からある化学物質(神経伝達物質)が放出され、Bの樹状突起という木の枝が張り出したような突起にある受容体に結合します。このつながりをシナプスと呼び、このギャップをシナプス間隙と呼びます。一神経細胞の樹状突起はたくさんの神経細胞軸索終末とシナプス結合しており、脳全体でシナプスは兆のオーダーになります。そして一つの神経細胞はそれら受容した情報をシグナル伝達カスケード(化学反応の連鎖)に乗せて時に細胞核にまでメッセージを運びます。そこでは様々な遺伝子の活性化から最終産生物(受容体、酵素、神経栄養因子、イオンチャンネルなど)を生み出します。またこの化学的情報集約の結果その細胞体Bは電気的コード化した活動電位を軸索終末に運びます。ここで電位を運ぶ時には電位感受性イオンチャネルが電気的インパルスを媒介しています。そして神経細胞Cに・・・。神経細胞体は化学的情報を集約し電気的情報に変え、シグナルを細胞内で電気的に伝播させ、再びシナプスを通じて化学的情報に変えて伝達をしています。

うつ病のモノアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどの神経伝達物質)受容体仮説では、特にノルアドレナリン、セロトニンの受容体数がうつ病では先ほどの樹状突起においてアップレギュレーションしていると考えます。アップレギュレーションとは要するに受容体の数を増やし、よりモノアミンをとらえやすくしている状態と考えてください。それはセロトニン等のモノアミンの欠乏を反映しているとします。そしてそれが古典的うつ病モデルになっています。その樹状突起周辺で何らかの理由でセロトニン等のボリュームが増えると、まず受容体のダウンレギュレーションが起こります。ダウンレギュレーションとはアップの逆、つまり受容体数の減少です。
その次に起こるのは受容体(セロトニンであれば5HT1A自己受容体)の脱感作です。これはその神経細胞のゲノムにモノアミンの増加が受容体を通して伝わり、その情報に対する反応として、受容体の機能を停止する、つまり細胞内に情報を伝えなくするものです。
そうなるとその神経細胞はモノアミン受容体からの情報を受け取れなくなり、結果その神経細胞の軸索終末からシナプス間隙へのモノアミンの放出量のコントロールができなくなり(脱抑制)、その先、後シナプスモノアミン受容体の脱感作が起こり・・。
結果的にモノアミン神経伝達において強力な脱抑制が起こると考えられたわけです。これは強力ではあるが、ゲノムを介するこの化学変化の連鎖には日単位での時間を要すると考えられます。

ところがケタミンは抗うつ効果出現が桁違いに早い、時間のオーダーでそれが現れます。作用機序が明らかに違うわけです。そもそもケタミンが作用するのはグルタミン酸受容体の一種NMDA受容体であり、その働きはイオンチャンネル開口阻害薬です。その抗うつ作用の本質については未だ解明されていません。

2019年9月14日