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レム睡眠と記憶

前回何だか難しげなことを書いてしまい、さらに直接あまり臨床に関係ない領域なので、テンションが下がっています。少し話題を変えます。

レム睡眠時にPGO活動が盛んになり、それに伴いびまん性に脳の様々な部位が活性化されるわけですが、その一つに海馬があげられます。ここは記憶の形成、特に新しい記憶を長期的に脳に蓄えるための重要な部位だと認識されています。

そのことは外科的に海馬領域を摘出された患者さんの観察から次第に明らかになってきたとされています。いわゆる新しいことが覚えられない、前向性健忘の状態が起こるようです。

つまり海馬は一種の記憶処理のゲート機能があり、そこで重要な情報、反復された情報のみが選択的に長期記憶として蓄えられるようです。

レム睡眠との関係では、前回書いたようにセロトニン神経は覚醒時には規則的発射活動があり、徐波睡眠になると弱まり、レム睡眠ではその活動を完全に消失するわけですが、そのセロトニン神経は海馬、中隔といった大脳辺縁系への投射があります。そしてその中でも正中縫線核といわれる部位からの投射が海馬の活動、特に海馬のθ波の抑制に働くことが分かっています。

海馬θ波とは5~12Hzの振幅からなるリズム活動で、注意集中時、情報収集時に発生するとされます。このθ波の抑制にセロトニン神経系が働くということは2つの意味があると思われます。一つはレム睡眠時に抑制が解除されることでθ波活動が活性化し、長期記憶の固定化がなされているであろうこと、もう一つは覚醒時にセロトニン神経系が規則的な活動をすることで海馬脳波を脱同期させ、結果θ活動が消失し、通常行動時に過剰な記憶化を防ぐ、言い換えれば不必要な情報、日常の雑多な情報の大半を捨てる機能があるのではと考えられます。これは生きていく上で必要な機能です。すべての事象を記憶するハイパーサイメシア(超記憶症候群)と呼ばれる人たちは、もしかしたらこの機能に問題があるのかもしれません。

ちなみに海馬は心理的ストレスに対して脆弱な部位とされ、コルチゾール等のストレスホルモンで神経細胞の破壊が起こり、結果海馬の萎縮が起こるとされています。ストレスを避け、適切な環境に置くことで海馬の萎縮は避けられます。皆さんもくれぐれもストレスを貯めないようにご注意ください。

2018年11月23日  ひとりごと