Vol.7 不眠症かな?と思ったら
通常、睡眠と自律神経には密接な関係があり、眠るときには身体がリラックスするときに優位になる「副交感神経」が働きます。
しかし、何らかの原因によって睡眠時に身体を活動的な方向に仕向けてしまう「交感神経」が活性化してしまうことがあります。これが睡眠障害の1つの原因と言われています。
夜眠るための身体のしくみ
夜になると私たちの身体において、以下のような反応が起きるとされています。
- 副交感神経が優位になり、リラックスした状態になる
- 日中高くなっていた体温が、ゆっくりと下がって身体がお休みモードになる
- メラトニンという、眠りに関係の深いホルモンが分泌される
体温の変化や眠くなるために必要なメラトニンというホルモンの分泌は、自律神経系と密接に関係しています。自律神経系のバランスが乱れていると体温調節機能が衰え、睡眠時に体温がうまく下がり切らずに、ある程度体温が高い状態を維持してしまい、「眠れない」「熟眠感がない」「寝汗が多くなる」という状況を作り出しやすくなってしまいます。
また、メラトニンがうまく分泌されなくなってしまうと、脳や身体の覚醒状態が睡眠時も続いてしまい、「寝付けない」「寝ても眠い」など、休まらない状態に陥ってしまうのです。
薬を使わずに睡眠を改善するためのヒント
上記のように、不眠はストレスに反応して自律神経系のバランスが乱れた結果であることが多いと言われています。また生活習慣が不規則になることでも生じやすくなります。
体調不良で症状が出ているのにも関わらず病院で「身体に異常はない」と判断されるような場合、『血液検査のデータや医師の診察では明らかな異常が見つからなくても、自律神経の乱れはある』といった状況が想定されます。
これはつまり、睡眠の状態に関しては、自律神経系を整えていくことである程度改善が見込める可能性がある、ということでもあります。「睡眠」「食事」「運動」等の生活習慣を意識的に整えていくことで、日頃から自律神経系が乱れにくい生活を目指すことができます。
また、生活習慣の改善は、すべてを一度に変えようとすると逆にそれが負担になる可能性がありますので、ご自分の状況や状態に合わせて、できるところから1つ1つ取り組んで行くことが大切です。「なんとかして眠らなくてはならない」と、考えれば考えるほど身体は緊張していきますので、「今の自分にできることはやっている」と、少しおおらかにとらえることも必要かもしれません。
近年睡眠の専門家の間では、「睡眠衛生(Sleep Hygene)」という方法や考え方が浸透してきています。これは睡眠に関連する問題を解消し、睡眠の質や量を向上させることを目的としていますので、生活の中で取り組めるものは参考にしていくと良いでしょう。次回、具体的なヒントを皆さんにご案内いたします。(O)